PC-9801 Emulator T98 Copyright(C) 1999-2000 YUKI 取扱説明書 ■はじめに 以下の項に分かれています、T98の導入が初めての方は、一語一語理解し確実に読み進めてください。エミュレータの仕組を、きちっと理解することがスムーズな導入につながります。 実機のMSDOSやハードウエア構成についてある程度の知識を要しますが、普通に実機を使っていた方なら問題無いでしょう。 ○インストール 作動確認と起動準備について説明します。 ○導入 MSDOS の導入について説明します。T98の作動概念を押さえてください。 ○拡張機器 T98に実装されているPC9801としての拡張機器の機能を説明します。 ○フォント 実機フォントの使用について説明します。 ○最適設定 快適に作動させるための設定目安について説明します。 デフォルト設定では、PentiumII333あたりを想定しています。 ○T98機能 エミュレータに実装された機能について説明します。ぜひ使いこなしてください。 ○INIファイルの仕様 T98.INIについて説明します。ランチャーを利用する場合も一通り押さえておいてください。 ○アンインストール アンインストールの手順について説明します。 ○仕様 参考程度ですが、T98が提供するPC9801としての仕様について説明します。 ■インストール 作動確認から導入準備まで解説します。 ○起動確認のため、そのままT98.EXEを起動します。 ・メモリーカウント後、画面に何も表示されず「ピー」と音が鳴れば正常です。 これは実機同様、起動装置が無いためです。[ALT]+[F4]で終了した後、作成されたファイルを削除してください。 ・メモリーカウントなど何も起こらない場合は、LOG.TXTを確認してください。 問題が記述されていない場合や、Windows自体が固まってしまう場合は、残念ながらT98はご利用になれません。 ○ファイル構成を準備します。 ・T98.EXE , T98.INI を任意のフォルダにおき、その中に「RSC」と「BMP」というフォルダを作成します。 「RSC」には、セーブファイルやフォントファイルなど、T98の作動時に必要なファイルを置きます。 「BMP」には、T98の作動中に取ったスクリーンショットが格納されます。 ○周辺ツールをインストールします。 ・DiskExplorer 及び、RUNT98 (junnnoさん作)をそれぞれの取り説に従いインストールしてください。どちらも必須ツールです。 ■導入 MSDOS起動までの一連の操作を解説します。 作動確認済みのDOSは、3.3 , 5.0A , 6.20です。 Windows95の起動ディスクは使えません。 ○起動ディスクイメージファイルを準備します。 ・実機と同じく、はじめての起動に「起動ディスク」が必要です。 ・T98では、直接フロッピーディスクを扱いませんので、物理的な「起動ディスク」をイメージファイルとして抽出する必要があります。 ・MS-DOS 3.3 , MS-DOS 5.0 を使用する場合、Dispel (大場 聡さん作)を使用し、NECプロテクトを解除してください。 ・イメージ作成に関しては、RUNT98 新規FDDイメージ作成機能を、ご利用ください。 ○MS-DOS を起動させてみましょう。 ・T98.INIを修正し、イメージファイルを登録します。 fdd0= ,fdd1= ,hdd0= ,hdd1= が、ディスクドライブです。 fdd0= に用意した「起動ディスク」イメージファイル名を編集します。 ・メモリチェック後、起動しないときは、イメージ作成時のフォーマット指定誤り,NECプロテクト いずれかの問題です。 MSDOSのコマンドプロンプトを見るまで、頑張ってください! ※RUNT98 を利用するとGUI上でイメージファイルの指定ができ、便利です。 ■拡張機器 各拡張機器毎に解説します。 ○HDD ・FDDと同じように、イメージファイルを扱います。 Hdd size= がHDDサイズです。単位はMBで、1〜1024の範囲で指定できます。 ここで指定したサイズのイメージファイルが作成されます。(Windows上でHDDの空エリアが足りないと、恐ろしいことになります) 128MB で使用することを強く推奨します。 ・HDDイメージについては、エミュレータ中のDOSで、初期化や領域確保など実機同様に行います。 ・T98上のFDDを取り出して起動すると(fdd0= ,fdd1= に何も指定しない)HDDから起動できます。 ・DOSのアプリケーションをMOやCD-Rで保管している場合、DiskExplorer(junnnoさん作)を使うと非常に簡単にT98のHDD上へ転送できます。 ・T98はCPUが286である為DOSをインストールできない場合が有りますが、HDDを、初期化>領域確保>システム転送した後「DOS」というディレクトリを作り、手動でコピーして頂ければ普通に使えます。 ○FM音源 ・PC9800-86 相当のサウンド機能を利用できます。 Sound= が機能の設定になっています。 設定値 機能 0 PC9800-86 音源を使用しません。 1 PC9800-86 音源を使用します。 ・合成周波数を設定します。 Fm Rate= で指定します。(110,220,441,555 単位100Hz) 値が大きいほど、音質は向上しますが、処理が遅くなります。 ・PC9800-86 音源の発音遅延時間を設定します。 Fm Speed= で指定します。(最速 1〜90 最遅) 値が大きいほど、レスポンスが悪くなり、実際より送れて発音されますが、処理に余裕が生まれ、音飛びしにくくなります。 ※これらは、「最適設定」項を参照願います。 ・PC9800-86 音源の各種音源ヴォリュームを設定します。 XXX Volume= で指定します。(最小 -20〜20 最大) とりあえずデフォルトのままでよいでしょう。 ・リバーブエフェクトを設定します。 Reverb Time= が広がりの大きさ(0:OFF 狭 1〜50 広)、Reverb Level= が変調深度(深 0〜5 浅)です。 ☆PC9800-86 の、OPNA(YM-2608)を開発していただいたciscさん、Rhythmサンプルデータを作成していただいたまーくん2さんにこの場を借りて深く感謝します。 ○MIDI音源 ・Windowsで標準に利用しているMIDIを、MPU98として利用できます。 Midi= が MPU出力の設定になっています。 設定値 機能 0 MIDIを使用しません。 1 MIDIを使用します。 2 インテリジェントMIDIを使用します。 通1に設定し、正常に作動しない場合2に設定してください。 ☆MIDI I/F を開発していただいたDULLさん、インテリジェントモードのサポートをしていただいた浜徹さんにこの場を借りて深く感謝します。 ○ジョイスティック ・Windowsで標準に利用しているジョイスティックを、PC9800-86のGAME/MIDIポートに接続したジョイスティックとして利用できます。 JoyCal= で軸の感度、JoyBottom= で使用ボタンを設定できます。 JoyCal=0 に設定するとジョイスティックを使用しません。 お好みに合わせてご利用ください。 ☆ジョイスティック I/F を開発していただいたDULLさんにこの場を借りて深く感謝します。 ○キーボード ・基本的にWindowsのキーがそのままですが、実機の特性上、一部キー配置に違いが有りますので、以下に相違を挙げます。 98のKey WindowsのKey [STOP] [Pause/Break] [COPY] 使えない [HELP] [NumLock] [HOME] [End] [GRPH] [Scroll Lock] [NFER] [無変換] [XFER] [前候補/変換] [VF1〜5] 使えない ○マウス ・Windowsで利用しているマウスが使用できます。 起動直後や稀に、かってに動いてしまうことがありますが、そのときは、しばらくマウスを操作しないでください。数秒後、通常に戻ります。 ・特定のWindows環境下でマウスカーソルが真ん中に残ったままになる場合がありますが、(USBとPS2を両方使うと頻発する模様)この場合は、T98をダブルクリックしたときの二回目のクリックをT98が起動してしばらく経つまで押し続けてください。 ○CD-ROM ・不要な場合や、良くわからない場合は、使用しないでください。 致命的な障害が発生する可能性があります。 環境などにより作動しない場合があります。 ・Windowsで利用しているCDROMが使用できます。 Scsi CD= で、使用するASPIデバイスIDを設定してください。 汎用のASPIデバイス表示ソフトでデバイスIDを調査することができます。 0を指定すると、たいてい、どこかのCDROMが使えるようになります。 ・T98内のMS-DOSでは、CD-SD(Uno氏作)を使用してください。 デバイス組み込み例 [CONFIG.SYS] LASTDRIVE=Q DEVICE=CDSD.SYS /D:CD_101 /I0 [AUTOEXEC.BAT] MSCDEX /D:CD_101 /L:Q T98からはSCSI経由のCDROMとして認識します。 IDE CD-ROM の場合は T98で指定するべき SCSI ID は、マスタ=0,スレーブ=1 です。(多分) ☆SCSI-CDROMを開発していただいた、浜徹さんにこの場を借りて深く感謝します。 ■フォント T98では、実機と同じフォントを使うことが出来ます。 罫線なども表示され、まさに実機どおりの見た目になります。 実機が必要になる為お持ちでない方は、実機フォントをご利用いただけません。 ○実機からフォントを抽出します。 ・vfont(紫炎さん作)を使いフォントが作成できます、詳しくはvfont付属のドキュメントを参照ください。 ・font= に、使用するフォントファイルの名前を設定します。 ■最適設定 皆さんが、T98をご利用いただける環境もさまざまです。T98は特にCPUスピードに依存し、実用的な設定値はCPU毎にほとんど決まってしまいます。 ○MMX-Pentium-200 クラス ・サウンド付で、何とか作動させることが出来ます。 実用的に「動かすこと」が目的になります。 画面の滑らかさ:3 PC9801-86 音源部リバーブ範囲:0 PC9801-86 音源部合成周波数:220 PC9801-86 音源部遅延時間:50 ○PentiumII-266 クラス ・ある程度快適に作動させることが出来ます。 「音質重視」 画面の滑らかさ:2 PC9801-86 音源部合成周波数:441 PC9801-86 音源部遅延時間:20 「描画重視」 画面の滑らかさ:0〜1 PC9801-86 音源部合成周波数:220 PC9801-86 音源部遅延時間:20 ○PentiumII-333 クラス ・通常のアプリは快適に作動させることが出来ます。 「重い」と感じたら、「画面の滑らかさ」を1にしてみてください。  画面の滑らかさ:0 PC9801-86 音源部合成周波数:441 PC9801-86 音源部遅延時間:20 ○PentiumII-450 以上 ・最高設定以外使うときはないと思います。 画面の滑らかさ:0 PC9801-86 音源部合成周波数:441 PC9801-86 音源部遅延時間:10 ■T98機能 T98に内蔵されている、エミュレータ特有な機能の使用法を説明します。 ○INIの設定による機能 ・レジューム 次回開始時、終了時の状態のまま起動します。 環境が安定したらONにしましょう、いつでも中断でき大変便利です。 Resume= でレジューム機能の有効/無効を設定します。(0:無効 1:有効) ・オートセーブ 一定時間毎にセーブを取ります。 アプリケーション使用時、「しまった!」というときの保険です。 Saveエリア7,8に交互に保存されます。 Auto save= にサイクル時間(秒)を指定してください。(0 を指定するとオートセーブは、機能しません) Saveされたデータは後述の「 CPU Load 」機能でロードできます。 ・Y2K対応 98DOSアプリに含むY2K問題を解決します。 Year 2000= で年を二桁で指定してください。(0 を指定するとWindows上の年の下二桁がエミュレータで使われます) ○キー操作で使用する機能の操作法 ・各機能は、メニューを開きファンクションキーを押して操作します。 [F11]キーを押すとメニューが開き、再度押すとメニューが閉じます。 ・CPU Save [SHIFT]+[F1〜F8] 現在のエミュレーション状態を、保存します。 セーブがなかなかできないゲームなどでご利用ください。 [F1](Saveエリア1)〜[F8](Saveエリア1)までの八つ保存でき、一つにつきHDD容量を約5MB必要とします。 ※Saveエリア7,8は、オートセーブ機能使用時、交互に自動書き込みされます。 ・CPU Load [F1〜F8] CPU Save により保存された状態に復帰します。 ・TCNS [F9] T98コンソール「TCNS」を起動します。 TCNSの終了は [ESC] か、EXIT です。 TCNSのコマンド操作については、「T98拡張パック TCNS.TXT」をご覧ください。 ・BMP [F10] 画像をキャプチャします。 「年月日-時分秒.BMP」というファイルが生成されます。 同じファイル名のものは上塗りされます。 ・QUIT [F11] メニューを閉じます。 ・RESET [F12] 実機の RESET ボタンに相当します。 ・LOGOUT [SHIFT]+[F12] T98が終了しWindowsに戻ります。 ・CPU UNDO [ESC] CPU Loadする前の状態に戻ります。 ■INIファイルの仕様 T98.INIは、T98の作動条件をすべて司ります。 ○運用例と各設定の説明をします [T98] ;--- System --- Mode=0 モード設定 Auto save=300 オートセーブ機能の時間間隔(秒) Vsync=0 画面の滑らかさ Year 2000=96 Y2K対応 Bmp path=BMP/ ビットマップ出力パス Resource path=RSC/ リソースパス font=RSC/FONT.BMP フォント名 ;--- Disk --- fdd0= FDドライブ#0 イメージファイル名 fdd1= FDドライブ#1 イメージファイル名 hdd0=DISK/SYSTEM.THD HDドライブ#0 イメージファイル名 hdd1=DISK/GAME1.THD HDドライブ#1 イメージファイル名 Hdd size=128 新規HDD作成時の容量(MB) Scsi CD=0 CD-ROM デバイス接続形態 ;--- Sound --- Sound=1 86音源 使用フラグ Reverb Time=18 86音源 リバーブ範囲 Reverb Level=2 86音源 リバーブ変調度 Fm Rate=441 86音源 合成周波数(100Hz単位) Fm Speed=10 86音源 遅延時間 Midi=2 MIDI音源 設定値 ;--- Volume --- Fm Volume=0 86音源 OPNA FM音源ヴォリューム SSG Volume=-7 86音源 OPNA SSG音源ヴォリューム Rhythm Volume=-2 86音源 OPNA RHYTHM音源ヴォリューム ADPCM Volume=0 86音源 OPNA ADPCM音源ヴォリューム 86PCM Volume=0 86音源 PCMヴォリューム (機能無し) BEEP Volume=0 BEEPヴォリューム  ;--- Joypad ---  JoyCal=200 ジョイスティック軸感度  JoyBottom=1 ジョイスティック釦配置 ■アンインストール 見えるファイルをすべて削除すれば終わりです。 レジストリは嫌いなので使用していません。 ■仕様 T98が提供するPC9801としての仕様です。 ○アーキテクチャ ・PC-9801 10MH系 ・DipSW 固定 ○CPU ・80286 リアルモード ・8086 全インストラクションセット ・80186,80286,80386 インストラクション一部 ○MEMORY ・MAIN 640KB ・XMM 1024KB(HMA,UMB のみ、XMMT98.SYS にて使用可能) ・EMS 2048KB(DOS 付属 EMM.SYS にて使用可能) ○CRT ・GDC テキスト、グラフィックス、一部サポート ・KCG  I/O,Windowサポート ・TEXT 80*25 / 80*20 2モード対応 カーソル表示、点滅 文字毎に8色カラー、反転(下線、点滅、指定時は反転) ・GRAPH VRAM 最大640*400*2,16色パレット ・GC GRCG,EGCサポート ○BIOS ・INT 1B FDD 2基 FDD-I/F 3モード HDD 2基 SASI-I/F 1〜1024MB 1MB単位で任意に設定可能 CD 1基 SCSI-I/F(CDSD.SYS(Uno氏作)+MSCDEX.EXE にて使用可能) ・INT 18 UI 一部 ・INT 1C TIMER 一部 ○HW Interrupt ・INT 08 Timer ・INT 09 Key ・INT 0A VSync ・INT 0E MPU ・INT 14 Sound ・INT 15 Mouse ○他機能 ・PC9800-86 ・MPU(インテリジェントモード一部サポート) ・BEEP 無断転載厳禁 (C)1999-2000 YUKI